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時空をこえて 2007/1/15

本年も頑張っていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

さて、一月は宗祖親鸞聖人の御正忌報恩講の季節です。
毎年1月9日から親鸞聖人のご命日の16日までの8日間、西本願寺では聖人のお徳を偲び、讃える法要が勤められます。

参詣者の方々でいっぱいに膨れ上がった総御堂。
私も、11日のお勤めに出勤させていただきました。
650畳ほどもある大変に広いお御堂。
平素は、何ともいえないピンと張りつめたような空気のお御堂も人の温もりと熱気で赤く燃えているかのよう。その熱気の中、お経さまを読ませて頂く。その迫力は声の響きで本当にお御堂が揺れているようでした。

唯々圧倒されるその感覚に思い起こされるお経文。
説法獅子吼-法を説くそのお声は獅子が吼えているようだと。
どこまでも響き渡っていくお声。
お御堂に、私に沁み込んでくるかのようなお香の香り。
目に飛び込んでくる美しい荘厳。
文字となって顕れて下さっているお経文の言葉。
その全てが姿を変え、形を変えてまで私にはたらき通しの如来さまであられるのだと深く頷かされたことでありました。

この私が今、勤めているお御堂。
縦のつながりで見てみますとどれほどの人々の歴史と思いが詰まっていることでしょう。
そして横のつながりでみれば、そのお御堂でこれほどの方々と共にこの場所で慶びあえるのだと思うと、自分がここにいる不思議さと驚きを感じずにはいられない思いでした。

南無阿弥陀仏のお念仏。
親鸞聖人90年のご生涯でただ一つお説きくださったみ教え。
そのお念仏に800年以上の時を経て今、この私も出遇わせていただきました。
時代や空間は違っていても、同じぬくもり、同じおはたらきに生かされる喜び。
御正忌報恩講-本当に温かくお勤めさせていただきました。

一人いてしも 喜びなば  二人と思え 
二人にして  喜ぶおりは 三人なるぞ  その一人こそ 親鸞なれ
 
報恩講の歌。もったいなくかみ締めていきたいものですね。
                                釋 光乗