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出遇い   2006/4/10

桜が満開の季節。各地で入学式や入社式が催され、新生活が始まる中、そこには素晴らしい出会いがあります。尊敬する先輩や師との出会い、共に支えあえる仲間との出会いなどです。
 また、これは人だけに限ったことではありません。音楽との出会いや本の出会いなど、人は様々な物事と出会いながら成長していきます。
 
 では、仏法とのであいは人にどの様な影響を与えるのでしょうか。
 宗祖親鸞聖人は、仏法とのであいを教行信証というお書物に「遇がたくしていま遇うことをえたり。」とお示し下さいました。
 この「遇」という文字は、単に人と人が会うという意味ではなく「たまたまであえた」という驚きと「偉大なるものにであえた」という慶びを表す深い意味があるといわれています。
 聖人は比叡山での厳しい修行の中、それでも捨て切れない煩悩に悩まれた末、山を下りられ、法然上人に出会い、そこで初めて阿弥陀様の「まかせよ。かならず救う。」という確かなみ教えに出遇われました。その慶びこそが「遇」という文字に込められているのではないかと思うのです。
 
 私たちの不安定な日暮しをみそなわし、阿弥陀様は「全ての生きとし生けるものが輝かしい人生を送ってほしい。決してもらすことはない。必ず仏と成らしめよう。」とはたらき願い続けて下さっているお言葉を頂くとき、この人生に、進むべき道と安心できる場が与えられるのです。
                                合掌
                               釋光乗