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もう大丈夫  2006/1/21

阿弥陀様のお救いは「先手のお救い」といわれています。

私たちがあれこれと考えるより先に、この私の命をめあてとされ、私の苦しみ、悲しみを全て知りぬいた上で抱き取ってくださるほとけさまと聞かせていただいています。

自分の人生。行く先が、どこにあるのか、どちらに向かってゆけばいいのか。ということを自らの力で知ることは、大変困難なことです。
その私に「心配しなくていいんだよ。」と既にはたらいていて下さるのです。

電車待ちをしているホームで、まだ字も読めない幼い子どもが、母親から離れ一人で来た電車に乗ってしまいました。

発車した電車は、子どもだけを乗せ次の駅へと向かいます。

子どもはまわりを見渡しても当然知らない人ばかりです。ただ不安と孤独感が増す一方です。
そんな中、電車からの連絡を受け、急いで駆け付けた母親の姿。
「ごめんなさい もう大丈夫だよ。」 ギュッと母親に抱きしめられたとき、あたたかさと安心感でその幼い子どもは大泣きしたのでした。

私たちは普段、それぞれの人生に不安を抱えながら歩んでいます。
しかし、その私たちに「心配しなくていいんだよ。もう大丈夫だよ。」と常に寄り添い、喚び続けて下さっている阿弥陀様は、私に大きな力を与えて下さいます。そしてその「もう大丈夫。」というお心が南無阿弥陀仏というお言葉なのです。

いつでも、どこでも共にまします如来様。「ありがたいことです。もったいないことです。」とお念仏申させて頂きたいですね。
                              釋 光乗