損か得か 2006/5/3
先日、逮夜のお参りの中で御門徒さんが「最近の人間は全てが損得、お金を中心に物事を考えるからややこしい。いのちの無駄遣い。」とおっしゃいました。
日常生活で損か得かで物事を考える事もある意味仕方の無い事の様にも思えますが、それに慣れきってしまうと、いつの間にか自己中心的に生きる事が当たり前になってしまっているようにも感じられます。
例えばニュースを賑わすBSE問題や鳥インフルエンザ問題に目を向けてみても、国や企業の利益追求ばかりに焦点が合わせられ、動物達の命の問題に目が向けられる事は殆んどありません。勿論、私も大変あさましい事ではありますが、報道を見ても人間の為だから仕方が無いなどと考えていることがあります。
阿弥陀様はこういった損得でしか物事を考える事のできない私の姿を、ありのままに見せてくださいます。それは掛替えのないいのちを頂きながそのことにすら気づこうともしないどうしようもない私を、それでも放ってはおけないと慈しまれた上でのことです。仏さまのまなこに見抜かれた姿こそがほんとうの私の姿であり、それは仏様の真実の法にふれさせて頂くとき初めて気付かされます。
だからこそお念仏を申し、少しでも自分中心にしか考える事のできない私の心を、しっかりと見つめていきたいと思います。
釋 廣樹